ビジネスモバイル最前線(8)
Windowsケータイの活用でホスピタリティが向上
[2007/04/27]
日下部知世子氏
昨年、11月、南青山の元EU大使公邸跡地に「ソワン フィトニック」というアロマテラピーサロンがオープンした。このサロンをプロデュースしたのは、日本におけるアロマテラピー(芳香療法)・フィトテラピー(植物療法)の草分け的存在、日下部知世子氏。
サロン名の「フィトニック」とは、フィトテラピー(植物療法)とトニック(元気になる)という言葉を組み合わせた造語で、日下部氏が植物療法の研究を通じて体得した植物の力で元気になる「Phytoniquue」(フィトニック)というライフスタイルの提唱に由来する。
日下部氏は、フランスのアロマテラピーの父と呼ばれる故ジャン・ヴァルネ博士の後継者マダムティフィーヌに師事。2001年にヴァルネ夫人より正式な継承者として認められ、日本におけるアロマテラピーの紹介と普及に大きな役割を果たしている。
ジャン・ヴァルネ博士は、人間の多くの健康上の問題は自然の治療薬や植物の力で解決できるというポリシーを持ち、精油類はすべて純正。保存料や着色料も添加物も加えないピュアな植物成分にこだわった。
「20年以上、アロマテラピー、フィトトラピーの世界に関わってきましたが、人間の体というものは植物と深い絆で結ばれているのです。ケミカルなもの、人工的なものに囲まれている現代の人々の心と体を自然の状態に戻すこと、自分が本来持っている自然の力に気づいてもらう場として、このサロンを開いたのです」と日下部氏は語る。
これまで全国でアロマテラピーサロンの開設の指導やプロデュースを行ってきたが、現在、最も力をいれているのが、後進の育成。人の育成を大きな目的に、自身が経営するものとしては初めて南青山にサロンを開設し、そのサロンに隣接する形でアロマテラピスト育成のためのスクールも開校、後進の指導にあたっている。
また、日下部氏は日本におけるスポーツアロマテラピーのパイオニアでもある。スポーツアロマテラピーとはアロマテラピーをスポーツに応用したもので、精油の持つ成分や香りとトリートメント効果を組み合わせ、スポーツ選手のコンディショニングやパフォーマンス向上に役立てるというもの。日下部氏のもとには、現在も有名アスリートたちが、数多く足を運ぶ。
Windowsケータイを内線電話感覚で利用し通信費を劇的に削減
現在、日下部氏のもと、20余名のスタッフがサロンとスクールの業務に携わっているが、意外なものが活躍している。Windows Mobileを搭載したPHS端末「W-ZERO3[es]」である。スタッフ全員が、このWindowsケータイを内線電話感覚で利用し、日下部氏も「W-ZERO3[es]」を持って、全国を飛び回っている。
「もともとは内線電話回線を引くつもりでいたのですが、建物の構造上非効率であることがわかり、ITに詳しい知人の薦めでスタッフ全員にPHSを持たせることにしました」(日下部氏)。
日下部氏は、週のうち何日かは必ず出張が入り、全国を飛び回っている。そのため、スタッフとのやりとりは、携帯電話とノートパソコンのメールで行うことが多く、1ヶ月の携帯電話の通信費が10万円に達することもあった。しかし、「音声定額サービスを導入した結果、従業員との電話のやりとりは、定額料金以外は無料になり、通信費が劇的に削減できた」(日下部氏)という。
また、日下部氏は、以前はメールのチェックのためにノートパソコンを持ち歩いていたが、パソコンを壊してしまったり、メールソフトの立ち上がりまで時間がかかるなどストレスを感じる場面が多かったが、手軽にメールを確認する手段としては「Windowsケータイは、TPOを気にせずバックの中に入れて持ち歩ける点がとても気にいっている」と説明する。
Windowsケータイはスタッフのサービスレベルにも思わぬ貢献をもたらした。
セラピストがお客様に施術の間は、音を立てることが禁物だが、メールでスタッフ間の連絡をとれるようになったことでホスピタリティが向上したという。例えば、セラピストが施術をしている間に、客に何か約束があり、急いでいることがわかった場合など、メールで受付スタッフに事前連絡をいれ、あらかじめタクシーの手配をさせるなどの気遣いが可能になった。また、サロン周辺のレストランやショッピング情報を聞かれた場合なども、ネットを検索してすぐに答えることができる。
「お客様の要望にその場で応える姿勢、言い換えると、お客様から聞かれたことに、すぐ応えるための何らかの方法を持っていることがホスピタリティの観点からはとても重要」と日下部氏は力説する。
「ホテルなどでスタッフにちょっとしたことを聞いても、コンシェルジェの席まで連れていかれ、挙げ句は待たされてしまう。これではかえって逆効果、ホテルのスタッフにWindowsケータイを持たせたらホスピタリティは格段に向上するはず」と自分自身の経験をもとに語る。
クリニック、スポーツジム、スパを一体化させヘルスメンテナンスを提供
ソワンフィトニックには、医者が週2日間サロンを訪れ、カウンセリングとクリニックを行っている。また、運動指導を行うパーソナル・トレーナーもいて、セラピスト、ドクター、パーソナル・トレーナーが三位一体となって、サロンの顧客の心と体のケアにあたっている。これまで、クリニック、スポーツジム、スパのトリートメントというのは、それぞれ別物と考えられてきたが、ソワンフィトニックでは、これらを一体のものとして扱う「ヘルスメンテナンス」という考え方がとられている。
「人の体と心は、本来一体のものです。体のこと、運動のこと、美容のことをバラバラに扱っていることに大きな問題がありました。」(日下部氏)
当然のことながら、セラピスト、ドクター、パーソナル・トレーナーが情報共有を緊密にすることで、はじめて顧客のQOL(Quality of Life)を向上させることができる。そのための情報共有のツールとしてもWindowsケータイは大きな可能性を秘めているのだという。
「アナログとITが融合することで、お客様に対して本物のホスピタリティを提供することができる」と日下部氏は、植物と人の関わりの中から生まれた新しい気づきの場「ソワン フィトニック」に対する情熱を語った。
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